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シンガポール編 2




シンガポールのガイドブックを見ていると
ハードロックカフェがオープンしたばかりだ、と書いてあった。

行かねばなるまい。
わしはロックンローラーであるからろっくんなわけであり、
それがハードなうえにカフェっちゃってるのだから
これはもう、一目散にいかねばならないのである。

で、ホテルの入り口でタクシーを待つ。
すぐにタクシーはやってきた。
わしはガイドブックを指差しながら、「ココにプリーズ」とハードロックカフェ
の写真入りの記事を見せた。
運転手は「ん?う~ん・・・」とあいまいな返事をしつつも
車を発車させたので、わかってくれた、と思った。
ところが、タクシーはホテルのエントランスをぐるっと一回りして、
元の位置に戻ってしまったのだ。
「は?何やってんの?」と聞くと
「俺はその場所わからない。行けない」という。

ハードロックカフェだよ?シンガポール市内だよ?
タクシー運転手が知らないってアナタ。
しかも住所が書いてあるんだよ?どーなってんの?

腹が立ったがしかたがない。
「ちょっと待ってろ。今ホテルの人間に聞いてみるから」と運転手に告げ
ホテルのエントランスにいる従業員のところまで行った。
「ねぇねぇ、ここわかる?」とガイドブックを見せると、
「ああ、ハードロックカフェね。ハイハイ」って事だったので、
「あの運転手に場所説明してやってよ」といって振り返ったら、

バタン

この運転手、別の白人老夫婦を乗せ、今にも出発しようとしていた。
おいおいおいおいおい!何してんだよ。

おいらは車の窓をばんばん叩き開けさせると、一気にまくしたてた。
「お前!待ってろって言っただろ!何、他の客乗せてんだよ!」

運転手は言う。「だって俺、そこ知らないもん」

ムカムカムカムカ。
「知らないじゃねえだろ。今ホテルの人に道聞いてやってたのに!」
いくら言っても運転手は「俺は行けない」の一点張り。
おいらもまぁ次のタクシーを待てばいいのだが、その時はなぜか意地に
なってしまった。
しかし、後部座席にチョコンと座っている白人老夫婦が「何事か?」
と脅えた顔をしていたので、しかたがねぇ。「もういい!行っちまえ!」
と言ったのだった。

運転手はフンッってな感じで車を出発させた。
その運転手の顔でおいらはキレた。
で、走りだしたタクシーの後ろのバンパーに蹴り。

タクシーは2m~3mほど走ってキキーッと停まった。
運転手が怒鳴りながら降りてくる。
来た、来た、来たーっ!
頭の中では「燃えよドラゴン」のテーマが流れだした。
かかってこいやーーーーー!!!!

結局、
ホテルから黒服が飛び出してきて、勝負は止められた。
タクシーの運転手をなだめながら、出発させる。
オイラは一応客なので、「失礼しました。サー」なんて
言われて終わったのだが・・・・・。

翌日からホテルの従業員に
「ヘイ、ミスター。ユー、キック、タクシー?」と聞かれて
クスクス笑われた。
すみません。ハイ。蹴りました。

すみません。若かったものですから。


シンガポールでの思い出って、こんくらい。
わははははは。他ほとんど覚えてないっす。


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